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エベレストへの旅





エベレスト街道 トレッキング 6日目 5000mを越える

3月31日(トレッキング6日目 ディンボチェ~チュクン~ディンボチェ)

6:15起床。

橋から川に飛び込む。

水はどこまでも青く透き通っていて、僕は深く深く川底へ、キラキラと輝くあぶくに包まれながら、ゆっくりと沈んでいく。

気がつけば太陽の光がゆらゆらと揺れている水面ははるか頭上にある。

苦しい。はやくあの水面に戻らなければ。 

もがくように水を掻いて上昇する。

「プッハッ!」

肺が悲鳴を上げるほどの大きな息をしたところで目が覚めた。

ここはエベレストトレッキング街道のディンボチェ。標高は4350mもある。当然空気は薄く、意識して深い呼吸をしないとかなり苦しい。

寝ている間はだんだんと呼吸が浅くなるので苦しくなってくる、というかうまく眠れない。

昨夜は何度も目が覚める。

一度はプチパニックを起こしそうになる。

「息ができない。苦しい。はやく山を降りなくちゃ。」

「落ち着け落ち着け。ゆっくり呼吸すれば大丈夫。」

寝袋の中、自分で自分に言い聞かせる。

ここよりもはるかに高いエベレストのピーク(8848m)を目指す人たちなどは、さらに過酷な環境にさらされることになる。

エベレストの頂上を目指すということは、自己との戦い、というか、自分とじっくり対話することなんだろうと思う。

今日は高度順応のためディンボチェに連泊する。

イッコと地図を見ながら隣村のチュクン(4743m)まで行くことにする。ここよりさらに高いところに登って、降りてくれば、少しは高度順応が進んで、うまく眠れるようになるかもしれない。

ということで、今日は重い荷物は宿において身軽なトレッキング。

上り坂もそれほど急なところはなく、景色を楽しみながらゆっくり歩く。

盗難の被害にあったイッコも気持ちを切り替え、いつものように元気に前をゆく。昨夜仲良くなったイングランドの女の子から予備のアンダーウエアと靴下をもらうこともできたし、ご機嫌だ。

その強く明るくフレンドリーで能天気な心が僕にも欲しい。(能天気だけは持ってるか)

谷あいを過ぎると目の前にものすごく美しい景色が広がってきた。

どこを見ても絶景だ!

これまで遠くに見えていた美しいとんがり山「アマダブラム」が目の前にどーんとちょっと形を変えてそびえたっている。

その横には白い屏風のような雪の壁。

突然、遠くで雪崩が起こり、白い雪煙りが上がる。ものすごい迫力だ。

目が痛くなるほどの白い雪と青い空。肺が痛くなるほどの冷たく乾いた空気。

This is Everest!

チュクンの村につき、ちょっと温かいミルクティでも飲もうかと思っていると、宿で友だちになったカナダ人に会った。

なにやらチュクンの裏にそびえるチュクン・リという山の途中の丘まで登ってきたらしい。そこまで登ると5000mを越えるという。

それにイッコが反応し、「やまちゃん、行こー!行こー!」と声をあげる。

(ミルクティーが・・・)

しぶしぶ、いや「5000mやったろうやんか!」と、僕もそれに賛同し、その丘を目指す。

しかし、この丘への登りはかなりの急こう配(250mくらいの高度差を直登する)で、ひじょーに苦しかった。

まるで急に年を取り、おばぁちゃんになってしまったかのように本当にゆっくりとしか動けない。1歩1歩ゆっくりゆっくり登り、10歩歩いたら一休みという感じだ。

おまけに息切れと動悸が激しく、頭痛も強くなってくる。

なにしろここは標高5000m。普通じゃない世界。

思いのほか時間がかかり丘にたどり着くのに1時間半もの時間がかかってしまった。

しかし、そこには苦しい思いをして登ってきただけのご褒美があった。

美しい!きれー!ビューティフル!ゴージャス!

ここまで登ってきてよかった。

十分に景色を堪能したのち、下の街へ降りることにする。

はやくミルクティ飲みたい。

あんなに苦しんだ登りに比べ、下りは楽ちんだった。

前を行くイッコは駆けるように降りて行っている。

正面の山で雲が産まれている。

あそこはすごい風なんだろうな。

産まれた雲がすごい勢いで飛んでいく。

ふもとのチュクンで一休みし、ディンボチェへ戻る。

これまたなだらかな下り坂になっていて、すいすいと進む。

天気は再び下り坂、だんだんと雲が出てきた。

そして僕の体も下り坂、だんだんと咳が出るようになってきた。そして少し、いやかなり頭が痛い。

高山病、肺水腫、脳浮腫、恐い漢字が頭の中に浮かぶ。大丈夫か自分・・・。

しかし、どうやら高山病の1つ、食欲不振、胃の痛み、とは無縁らしい。

夜ごはんは今日もネパールの郷土料理「ダルバート」。

ダル(豆スープ)、バート(ご飯)、タルカリ(おかず:野菜炒め)が基本のネパールごはん。

スパイスも控えめで日本人好みでおいしいし、野菜も食べられてヘルシーだ。

家庭料理だから宿によってダルや味付けが簿妙に違っていて面白い。

「ディディー(おねえさん)、お代わり!」

お代わり自由なのもうれしい。

これで夜がぐっすり眠れたら最高なんだけどな。


エベレストトレッキング豆知識

地図とコンパスは必ず持っていきましょう。

地図はカトマンズやルクラ、ナムチェで購入可能です。

カトマンズで400Rbでした。

トレッキング7日目につづく

標高4000mを越える場所でも人々は暮らし、畑を耕す。この地で採れたジャガイモは本当においしかった。
僕らの前にそびえ立つアマダブラム!
カトマンズで買った地図。何度も広げてルートを確認。とても役に立ちました。
ここは標高4000mオーバー。日が暮れると相当冷え込み小川も凍る。
氷河の近くの雪の上に立つ。空気が透き通っている。
あのピークに立ちたいのです!
標高5000m。丘の上には息をのむほどの美しい風景が広がっていた。いや、思いっきり息をしないと死にそうになるくらい苦しいのです。
午後を過ぎると雲が下がってきて辺りは靄に包まれ始める。僕の体調も停滞気味。