印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |



クリックすると文字の大きさが変わります。
文字が小さなときには大きくして見てくださいね。

HOME > omake > shimaisan > shimaisan2

小豆島遺産 不思議の旅

落ちそで落ちない重ね岩

フェリーに乗って小豆島に向かうとき、天気が良い日はデッキに出てみるといい。

潮風に吹かれ、海と島を眺めていると、だんだんと時間がゆるやかに流れ始める。

昔はフェリーがのろまなカメのようで、たいてい高速艇を使っていたのだが、最近はこのゆっくりとしたスピード感が心地よく、もっぱらフェリーに乗船するようにしている。(まぁ、乗船料が高速艇の半分で安いという理由もあるのだが・・・)

キラキラと輝く穏やかな瀬戸内海。沖を行きかう大きなタンカー、のんびりと釣りをする小さな漁船。あちこちに小さな島が浮かんでいる。小豆島はどれだろう?

小豆島は意外と大きい。まわりの島より一番山が高くて、一番大きな島、それが小豆島だ。

高松港から出港したフェリーが小豆島の西の玄関口、土庄(とのしょう)港へ入港しようと右に大きくカーブを切り始めたとき、進行方向右側の岩肌の上をよく見てみよう。鏡餅のような大小2つの大きな岩が絶壁の上に今にも落ちそうな具合に乗っかっている。

そう、あれこそが重ね岩だ。

重ね岩の登り口は土庄港から車で5分の小瀬(こせ)集落にある。道が舗装されているため、登り口のすぐ下まで車で行くことができる。

車を降りると、目の前に重ね岩まで続く階段が伸びている。上まで距離はそれほどないのだが、なかなか急なので思いのほか息が切れる。

階段を登りきり、岩のすき間の道をさらに登ると稜線に出る。乾燥して地面がむき出しの尾根は滑りやすく注意が必要だが、ここからの景色はすばらしい。頂上が平らで屋根のように見える屋島、海のすぐそばにある高松の町並み、女木島、男木島、遠くには瀬戸大橋、本州、備讃瀬戸を一望できる。
(一部がけ崩れがおこって危険な場所があるので、ロープの外には行かないように気をつけて!)

尾根をそのまま進むと、突如、目の前に重ね岩が現れる。

大きい!そして、厳かだ。

絶壁の上に立つ重ね岩の前には木の鳥居が立ち、岩の足元には小さな祠が作られている。信仰の場となっているのだ。

大きな樹、大きな岩、人は昔からそこに神の姿を見た。重ね岩を前にした僕も自然と手を合わせていた。

それにしても不思議だ。どうしてこんな場所に、こんな風な大きな岩がむき出しで存在しているのだろうか?

隠し持っていたスプーンで夜な夜な壁を削って脱出口を開けた脱獄囚のように、気の遠くなるような年月をかけて瀬戸の風雨が尾根を削りとり、硬かった重ね岩の部分だけが残されたのだろうか?はたまた、いたずら好きの小豆島先人達の現代アート(過去アート)なのか?

小豆島には島のあちこちに大きな岩が転がっている。

江戸時代大阪城の石垣を修復する際には、島のあちこちで石の切り出しが行われ、たくさんの大岩が船に乗せられて大阪城まで運ばれた。重ね岩がある辺りは当時の石切り場の1つであり、今でも、切り出して運ぶ予定であった大きな岩の表面に、石切りを担当していた大名の刻印を見ることができる。

そのような大阪城に運ばれることなく小豆島に残されてしまった岩のことを島の人は残念石と呼ぶ。(岩のほうは島に残れてラッキーだと思っているのかもしれないが)

実は重ね岩も山の中から切り出され、崖の下に転がされる予定だった残念石なのだろうか?謎は深まるばかりだ。

「まぁ、そんなんどうでもえいやんか。」

重ね岩はいつも絶妙なバランスで崖の上から瀬戸内海を見守っている。

小豆島遺産 はじめにもどる

絶壁の上に重ね岩がそびえている
突如目の前に現れる大岩!それが重ね岩
大きい!そして厳かな雰囲気を漂わせている
光のカーテンの向こうに四国が見える